技術士一次試験(応用理学)の勉強法について、解説します。
技術士一次試験は、いわゆる『技術士補』になるための試験です。
私自身は、大学院時代に受験し、見事一発合格でした。
その時の勉強方法について、解説します
試験概要
公益社団法人 日本技術士会のHPの内容を一部抜粋しています。詳しくは、HPをご確認ください。
受験資格
年齢、学歴、業務経歴等による制限はない。
試験科目
試験は、総合技術監理部門を除く20の技術部門について行う。
(1) 基礎科目として、科学技術全般にわたる基礎知識
- (1) 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
- (2) 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
- (3) 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
- (4) 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
- (5) 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
(2) 適性科目として、技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
(3) 専門科目として、受験者があらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識
応用理学の場合は、以下の分野から出題されます。
- 物理、化学
- 地球物理、地球科学
- 地質
試験日時
毎年11月下旬頃
合格基準
各科目(基礎、適性、専門)50%以上の得点。
ちなみに私の合格点は、以下の通り。
基礎科目:11/15点
適性科目:14/15点
専門科目:36/50点
合格発表
およそ3か月後
難易度
以下が、発表されている受験者数、合格者数、合格率の推移(H27~R3)です。
情報元:技術士第一次試験 統計情報
およそ30%前後を推移しています。
他の部門と比べて、やや合格率が低い印象です。
また、応用理学部門は、出題範囲が広い印象を受けます。受験で物理化学を両方やっていれば、そこまで負担感はありませんが、そうでないとかなり負担感があります。
さらに、受験者が少ないせいか応用理学部門用の参考書もあまりありません。
特段、応用理学部門でなければならない理由がなければ、建築部門などの受験をオススメします。
レベル感をわかりやすく伝えるために、周りの受験していた知り合いの学歴で見てみると以下のようなイメージです。
旧帝大クラスの国公立+早慶 | 普通に勉強すれば1回で受かる。 勉強期間:1~2か月 |
地方国公立+MARCH | 真面目に勉強すれば1~2回で受かる。 勉強期間:3~6か月 |
それ以下 | 大学受験ばりに勉強して、2〜3回受験したら受かる。 勉強期間:1年以上 |
学生でも取れてしまう人は取れますし、30歳になっても取れない人もいる。そんな試験です!
勉強方法
基本は、過去問ベースの勉強になります。数年分の過去問は、技術士のホームページからダウンロード可能です。一般的には、5年分が必要と言われています。
勉強を進める上での具体的なポイントは、以下になります
Point!
- 過去問を1年分解く
- 各科目の苦手な問題だけを集中的に2~7年分を不明な点がなくなるまで繰り返し解く
- 試験1か月前くらいから、1科目を通しで解く
- 基礎科目と適正科目では、参考書を活用する
過去問を1年分解く
まずは、できるだけ早い時期に1年分解いてみてください。この目的は、以下の2つです。
- 自分の現時点でのレベルの把握
- 試験問題の確認
この時、まずは試験時間通りで解いてください。終わらなかった場合、時間をかけて解きかけの問題を解いてください。
時間の問題でできなかったのか、わからなくてできなかったのか、整理しておくためです。
試験問題の確認
問題の量、出題範囲、出題傾向、時間配分などの雰囲気を掴みます。
また、自分の苦手分野と得意分野を整理しておきます。
自分の現時点でのレベルの把握
自分が向かうゴールの位置を確認します。
全くできないなら、それなりの準備と時間が必要になるので自分のレベルに合わせた勉強計画を立案します。
苦手な分野の苦手な問題だけを集中的に2~7年分を不明な点がなくなるまで繰り返し解く
- 苦手な分野の問題だけを集中的
- 1科目分を満遍なく解かない
- 解くときは、必ず時間を測る。
苦手な分野の問題だけを集中的に勉強していきます。
例えば、統計の問題が苦手だったら、各年度の統計の問題だけ解きます。
理解して、解けるようになるまで復習を繰り返しながら、何年分か解いていきます。
そうすると、似ている問題、同じことを聞いてる問題が多数出てきますので、段々と問題の傾向が掴めてきます。さらに、類似問題を扱うので定着率が良くなります。
不安であれば、その問題だけをさらに数年分解いてもいいと思います。逆に、得意な問題は時間かける意味なので、5年分も不要です。
1科目分を満遍なく解く進め方は、間違えた問題が多岐に渡るので復習にしにくいのでオススメしません。
専門科目に至っては応用理学の場合、1科目といっても、力学、電気、化学、地質、物理探査など多岐に渡るので一度に解くと復習がかなり混乱します。
また解くときは、必ず時間を測ってください。ただし、焦って解く必要はありません。
試験時間から1問あたりにかけられる時間は制限があるので、本番では時間配分を意識する必要があります。
ただし、勉強中は考える時間が重要ですので、時間はそれほど気にしなくていいです。ちなみに、解けるようになれば、自ずと解くスピードは上がります。
その上、時間には比較的余裕のある試験なので、そこまで問題にならないと思います。
試験1か月前くらいから、1科目を通しで解く
総復習の意味合いと時間配分の感覚を掴むためです。
1~2年分通してでやれば十分です。基礎科目と適正科目は時間が余るかと思います。。
ただし、専門科目だけは少し時間かかるので、注意してください。
基礎科目と適正科目では、参考書を活用する
基本的な勉強方法は、上記の通りですが、補助教材として参考書も有効です。
特に基礎科目と適性科目については、解説があるため、勉強がスムーズに進みます。
オススメの参考書は以下です。
各科目のポイント
基礎科目
Point!
- 捨てる問題と絶対に取る問題を決めておくこと
- 問題をしっかり読む!
問題構成としては、以下の1~5群にそれぞれ5問ずつ問題が用意されています。
- 1群:設計、計画に関するもの
- 2群:情報・論理に関するもの
- 3群:解析に関するもの
- 4群:材料・化学・バイオに関するもの
- 5群:環境・エネルギー・技術に関するもの
上記の各群から3問回答するので、3問×5群で15問の問題を回答する。
特徴的なのは、5問中から3問を選択できる点。
さらに、合格基準が50%以上正解が必要と考えると、全25問のうち8問正解できればいい。
要するに、自分の得意な問題だけ解けばいいのです!
私を例にして、ご説明すると、
数学、物理、化学で大学受験していたので、この辺は基礎力があったので、3群と4群(バイオを除く)をきっちり取るようにしていました。
2群も数学や統計に近い問題だけを選択し、情報系の問題は捨ててました。
辛いのが、1群と5群。
5群の知識関連の問題はほぼ捨てです。問題文をできるだけよく読むようにだけ心掛けました。
1群は、過去問の中で何度も登場するような問題(構造力学、PDCA、信頼性など)だけを勉強しました。
ちなみに私の結果は、以下のようなりました。
1群:設計、計画に関するもの(2点)
2群:情報・論理に関するもの(3点)
3群:解析に関するもの(2点)
4群:材料・化学・バイオに関するもの(3点)
5群:環境・エネルギー・技術に関するもの(1点) 11/15点
案の定、5群が残念な感じですね。後は、概ね予定通りという感じです。
上記のように自分の得意分野をよく理解して、無理に全部を勉強しないように注意してください。
『得意分野がなくて、どこ選べば良いのか。。泣』って方には、1群と2群の問題をしっかり勉強してください。比較的に過去問と似たような問題が出題されます。
仮に知識がなくてもしっかり問題文しっかり読めば、解ける問題が1群、2群には隠れています。5群も若干、その傾向がありますので、諦めずに読んでください。
適性科目
ここは、比較的簡単です。
Point!
- 過去問をやり込む!
- 必出の技術士法は暗記!(第4章、技術士の資質向上の責務)
- 問題をしっかり読む!
過去問さえ、しっかり解いておけば基本的に問題ないです。
強いて、ポイントとしては、技術士法は必ず出るので、どんな切り口で来られても解けるようにしておいてください。加えて、製造責任法と産業財産権制度も頻出です。
後は、問題文だけはしっかり読みましょう!
普通の善人であれば、読み間違えなければ大丈夫です。
私の知り合いでもこの科目で落ちたやつは1人しか知りません。(←サイコパス?笑)
専門科目(応用理学部門)
ここが最難関です。みんな専門科目が取れずに、不合格になっていることが多いです。
問題は全35問のうち、25問解答すればいいので、基礎科目と同じで得意分野だけ解けば良いです。ただし、本当に問題が多岐に渡ります。
物理:音・波、電磁気、力学、熱
化学:無機、有機、分析手法
地球化学・物理:気象、火山、堆積学、火成岩、プレートテクトニクス、土質力学、物理探査、同位体
その他:SI単位
理数系科目全般についての知識を問われてるのか?、思うぐらいの範囲の広さです。
ポイントも整理しにくいが、強いてまとめると以下がポイントとなる。
Point!
- 捨てる問題と絶対に取る問題を決めておくこと(基礎科目同様)
- 過去問を通して、その周辺知識やわからない単語や意味を深堀りする
基礎科目と同様に、捨てる問題は決めておくと良いです。
私の場合は、最後の物理探査5問くらいは初めからないものと思っていました。30問から25問選んでいました。
鉱床学の専攻なので、地質の中でも特にマグマ関係、火成岩、プレートテクトニクスは知識をさらに強固なものにしておきました。
肝心の勉強法については、過去問を解くのはもちろんですが、加えてわからない単語や原理について、深堀りして、しっかりその事象が起きる原理を理解するように努めていました。
これを間違えた問題だけでなく、正解した問題でもやっていました。
例えば、同位体の年代測定の方法が出題された場合、
『測定原理、それぞれの測定法による測定できる年代、測定誤差の特徴と原理、選択肢以外の年代測定法、SMOWなどをノートに整理して、何度も過去問を解き、その度に調べたことも復習する』
といった感じでひたすら勉強していました。
まとめ
総じて、どの科目でも言えるポイントは以下の3点です。
これだけは、忘れないようにしてください。
Point!
- 過去問をやり込む!
- 復習をやり込む!
- 問題をしっかり読む!
技術士1次試験は、技術士になるための第一歩です。
応用理学部門は、意外と難しいのでできなくても凹まずに焦らず、勉強してください。
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2次試験では、『論文』や『面接』があります。これは他の人に必ず、添削してもらう必要があります。近くに技術士がいない方は、オンライン講座などの受講をオススメします。
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