地球科学専攻といえば、理系なのに就職しにくい専攻で有名です。
そんなみなさんに少しでも選択肢を増やしてもらおうと地球科学専攻の私が就活や転職した経験をもとに就職先・転職先を紹介したいと思います。
なぜ就職に弱いのか?給与は低い?
就職に弱い原因として、地球科学関係のビジネスが少ないことかと思います。
日常でみなさんが地質や地球科学に触れることが少ないですよね?それが必然的にビジネスのフィールドを縮めています。
逆にIT技術は、みなさんに毎日触れていますね。スマホをみなさん使っている反面、それを使わせる側に回ってビジネスしている人がいます。使う人が多ければ、必然的にビジネスフィールドが広くなります。
給与水準は、地球科学関連の仕事の場合『モノ』があるかないかの影響が大きいです。
ITやプラントエンジニアなどでは、システムや設備などモノとして価値を提供できること、常に進化していることあり、ビジネスとして評価しやすい傾向にあります。
一方でサービスや調査となると、どうしても価値が抽象化され、安くなっていく傾向があります。
例えば、建築コンサルタントの仕事をビジネス視点で見ると、『リスクヘッジのために念のために調査しておく』ぐらいの感じで扱われることが多いです。そのため、どうしても価値が下がる傾向にあります。
次章で主な就職先を紹介するが、『モノ』が提供できる企業は比較的、高給になっています。
例)石油会社 ⇒ 石油
鉱山会社 ⇒ 金属、金属加工品
地球科学関係で付加価値の高いサービスが提供できたら、もっとビジネスのフィールドは広がっていくでしょう。(👈誰か何かあったら教えてください。笑)
地球科学専攻の就職先(王道編)
ここでは、地球科学に専門性がある人を特に採用する一般的な就職先を紹介する。
研究員、公務員、教員、ITなど窓口が広い就職先は、最後にまとめて列挙しておく。
○石油会社
INPEXやJAPEXなどの石油開発会社です。石油のポテンシャル評価、油田の管理などを担います。
給与水準は非常に高いです。ただし、採用人数が少なく、1~2人/年程度のため、非常に狭き門になります。
ちなみに海外では地質学者の給料が高いのは、この石油業界の人たちが引き上げていることが主な要因です。
専門として、貯留層の評価、堆積学、構造地質学、物理探査が多い印象です。
○鉱山会社
金属鉱山などのポテンシャル評価、運営などを担います。
JX金属、住友金属、日鉄などが有名どころになります。こちらも比較的給与水準が高くなります。
石油業界同様、採用人数が少なく、1~2人/年程度のため、非常に狭き門になります。
基本的には、鉱山の運営や調査がメインで鉱山の立ち上げに携われたら、かなりラッキーです。
また近年、鉱山開発の有望地が僻地になってきており、海外のド田舎に行くこともあります。
海外が嫌な方は、国内供給率が100%の石灰鉱山の開発をやっている太平洋セメントや旭鉱末であれば、海外に行くことは少ないでしょう。
専門としては、鉱床学、岩石学、無機化学、物理探査など幅広いです。
○ゼネコン(土木)
建物やトンネルの施工には、調査が必須です。土木地質といわゆる地質学には少し乖離があるので、地質学に詳しい方が重宝されます。建築コンサルへの調査依頼や管理、地盤構造調査及び解析などの業務を行います。
採用人数もそれなりに多く、給与良いです。ただし、それなりに激務になることもあるので覚悟は必要です。近年、建設業界にも働き方改革が広まり、土日休みになるそうです。。
○建築コンサルタント(地質系、環境系)
官公庁やゼネコンからの地質調査や環境調査などを担います。災害現場に赴き、土砂災害の調査、洪水の原因、堤防の調査など業務は多岐に渡ります。
パシフィックコンサルタンツ、日本工営、応用地質などが有名です。給与水準は平均よりやや低い印象です。官公庁業務が多いため、年度末は非常に忙しくなります。また、出張が多いのが特徴です。
忙しいわりに給与がゼネコン等と比べて低いため、比較的に就職難易度は低い印象です。
専門性が強いことをやっているので、専門性を極めたい方にはオススメです。
○調査機関
JOGMECや産総研、JAMSTECなどの調査機関で、国立研究開発法人になります。そのため、国の予算で仕事ができるため、研究やリスクが高い事業の初期フェーズなど技術的に面白い部分が担えます。
給与水準は良いです。ただし、博士からの採用が多いため、学部や修士にとって難易度が高い可能性があります。
○気象庁(国家公務員)
○その他
教員、地方公務員、IT企業など
地球科学専攻の意外な就職先
上記まではどこでも紹介されていると思いますが、以下の業界でも実は地球科学専攻の人材を求めています。
○電力会社(地熱、洋上風力)
近年の再エネブーム、SDGsブームで求人が増えています。J-POWERやレノバ、その他再エネベンチャーが就職先になります。
再エネとして、地球科学専攻の人材が活躍できる例としては、地熱と洋上風力があります。
地熱関係では、地熱ポテンシャルの評価や地熱井戸の評価が仕事になりますので、鉱山会社と近いイメージです。
洋上風力関係は、海底地盤の調査の求人があります。また、鳥への影響など環境調査も念入りに行われるため、そのようなフィールドでも活躍できるでしょう。
給与水準としては、ピンキリです。ESG投資の関係で人材と給与ともに増加している傾向があります。
○商社(資源部門)
商社は、鉱山開発や石油開発に投資して、資源を仕入れるビジネスをしています。基本的には、投資判断の情報は外部コンサルから集めますが、内部でもそれらの情報を理解する必要があるため、需要があります。
給与水準は当たり前ですが、良いです。
技術とビジネスの中間を担いたい方にオススメです。ただし、採用枠は少ないのでOB訪問等でしっかり確認しておきましょう。
○損害保険会社
損保では、保険の商品企画等において自然災害における保険金の査定やリスク評価などが必要になります。近年に自然災害が多くなってきているため、リスクを正しく金額で評価するために地球科学の知見がある人を求めています。
金融業界になるので、給与も良いです。
○宇宙工学
これは、まだまだ世間的には出てきていないですが、将来確実に出てくると思います。宇宙工学は、地球科学で同位体などを学ぶと惑星学なども学びます。惑星の岩石組成などは宇宙開発で非常に重要な情報になってくるので、そのうち求人出てくると思っています。
まとめ
地球科学の専門を活かせる仕事は、色々あるので幅広い視野で探してみると良いと思います。